親権者が親権を行使できないとき

親権を行う父又は母であっても、子との利益が相反する行為をする際には、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければなりません。また、子が複数いる場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為についても、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければなりません（民法第826条）。
例えば、子の財産を親権者に譲渡する行為や、親権者の債務について子に連帯保証させる行為などは、親権者と子の利益が相反する行為の典型例であり、このような場合に、特別代理人を選任せずに、親権者自身が子の代理として利益相反行為を行った場合には、無権代理行為、すなわち、その効果が子に及ばないこととなります（このような場合でも、子が成年に達した後にその効果を認めることはできます）。