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特集
住宅ローンを当該住宅に居住していない側が負担している場合の婚姻費用

別居中の婚姻費用については、それぞれが自己の生活費を負担していることを前提として金額が定められるのが通常です。ただ、たとえば夫名義の住宅のローンを別居中の夫が負担しているが、その住宅に妻子が居住しているというケースはままあることです。このような場合、婚姻費用はどのように算定されるのでしょうか。
これについては、一義的に定まっているわけではありませんので、ケースバイケースということになりますが、いわゆる算定表に基づいて算定される金額から、権利者(上記ケースでは妻)の総収入に対応する標準的な住居関係費を控除するのが相当であると判断された判例(東京家裁平成22年11月24日)があります。この総収入に対応する標準的な住居関係費というのは、家計調査年報という統計に基づくものですが、実際の住宅ローン額より低額になることが多いと思われます。
一見、妻の住宅費について、居住していない夫が負担しているのだから、婚姻費用については、通常の額から実際の住宅ローン額を差し引くべきであるとも思われますが、住宅ローンの支払いにより夫名義の資産が形成されるという側面があるので、そのように単純には考えられないのです。

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