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妻が、婚姻生活における夫の有責性は明らかであり、夫が今日までの間長年にわたり、家族を顧みない行状から、自らが受けた精神的損害は1000万円を到底下らないと主張して、慰謝料1000万円の支払を求めた事案です。
これに対し、裁判所は、妻と夫との婚姻関係が30年以上に及ぶこと、この間、夫は他の女性との間で不貞な関係を持ち、いったんは妻に許されたものの、再び別の女性との間で不貞な関係を持ち、夫婦関係を破綻させたことに照らすと、夫の行為は夫婦関係を破綻させた不法行為と認められ、妻の損害を賠償すべきものと認められるとしました。そして、夫の行為により妻の受けた精神的苦痛は重大なものと認められ、妻はこれを慰謝するには1000万円が相当である旨主張するが、一方で、夫と他の女性との不貞行為については立証がないこと、夫は、妻の前夫との間の子らを養子として成人させていることなどの事情が、婚姻生活が破綻したことによる慰謝料を評価する際、評価を低減させる事情と認められるとして、これらの事情も考慮すると、妻の苦痛を慰謝するには800万円をもってするのが相当であると判示しました。
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